涼:………あれ? 兄上。
兄上ではないかッ。
あれれ?
なんじゃ、私、どうなっておるんじゃ?
桜木:(くすくす笑いながら)
ホラ………また、寝ぼけて。
立ったまま眠れるなんて、あなたくらいですよ。
可愛い涼。愛しい涼。私の一番大切な涼!
………兄上ですよゥ。わかりますかァ?
(おどけた風に言って、笑いながら首を傾けてみせる)
涼:もうッ。お………おからかい召されるなッ!
この私に、兄上がわからんようになることなぞ、
金輪際あるものかッ!
ふぅむゥ。でも、なんじゃかな、このじゃらんじゃらんした
恰好は!
<オモテ>の新しい趣向かの?
それならば、有坂に一言言うてやらにゃあならん。
まるで、これじゃあ………これじゃあ、の………
(ふと、ニコニコしている兄を見て、一気に、頬を赤らめた………)
うぅむ、そのぅ、なんでもないよ。
いや、うにゅにゅなのじゃよ。
うにゅにゅ…………
桜木:(微笑みながら、耳にそっと囁くように)………あにうえの、お嫁さん?
涼:(カッと襟足まで真っ赤になって、飛び上がった!)
あッ、あわわ………ッ!わわッ!
き、急に何を仰るのじゃ!
も、もぉッ、び、びっくりするのじゃッ。
やや、やめて下されよゥッ!
(全身、湯気をあげるように、真っ赤に!)
桜木:(切なげに微笑みながら)
どうして?
ずっと小さい頃から、そう言ってくれていたのに。
大きくなって、心が変わってしまったかな?
大きくなって………綺麗になって。
涼。私はね。いつでも変わらず、あなたが、世界で、
一番好きだよ………!
涼:(覗き込まれて、心臓がはじけそう………ッ!
息をするのも、切ない思いだ!)
あ………あぁ。もちろんッ。
もちろんじゃよ、兄上。
私もじゃ。私もの。
世界で一番、兄上が好きじゃ。
兄上が、世界で一番、大好きで大切。
兄上が、世界で一番、綺麗で、お強くて、尊くて………ッ。
とにかく、兄上さえ笑って下さるなら、
私は、この世なんぞ、あってもなくても良いのじゃよ!
………でも、私では兄上に釣り合わぬもの。
兄上は十文字の主さまじゃし。
私は………私のこの身は、姉上とも違う。
私は………
桜木:(涼の腰を、ぐいと抱き取って。
そっと、重ねる、唇………!)
私の…………愛しい涼。大好きな涼。
私たちの間で、言葉や摂理が無意味であることなら、
あなたが一番良く知っているはずだよ?
涼、涼。
あなた以外に、私が、誰を欲したりするものか!
涼:(ウットリとなって、身を預ける………!)
兄上………兄上ッ!
あぁ、もぅ、私………
このまま死んでも、良いのになァ………ッ!
イサク:ほら…………そんな可愛い言葉も、
口にできるのに。
どうして、その寝言の相手が、
「兄上」なのか………
どうにも、理解に苦しみますな。
涼:(耳に入ってきた声に、氷水でもかけられたように、
一気一瞬にして目が醒めたッ!)
ゲ…………ッッッッッッ!
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